日本維新の会が挑む2023年衆院選。かつて勢いのあった「ゆ党」としての支持を背景に、馬場伸幸代表や吉村洋文府知事が中心となって選挙戦を展開していますが、その動員力が急激に低下していることが注目されています。街頭演説に集まる聴衆の数も減少し、かつての勢いを失いつつある姿が浮かび上がってきます。このままでは党の支持率に悪影響を与える可能性があるかもしれません。具体的にどんな状況になっているのか、詳細を見ていきましょう。
日本維新の会の選挙戦が始動
2023年10月15日、衆議院議員選挙が公示され、いよいよ選挙戦が本格化しました。投開票日は27日。この重要な選挙に向けて、各党が全力で選挙活動を展開しており、日本維新の会もその例外ではありません。
維新はこれまでも独自の立場から政策を訴えてきましたが、今回の選挙戦では特にSNSやCMを駆使した空中戦に力を入れています。党のメッセージを効率的に届けるための方法として、空中戦を中心に選挙活動を進めているものの、実際の街頭での活動においては「激寒」と言われるほどの反応の薄さが目立っています。
馬場代表の街頭演説に聴衆が集まらず
衆院選の公示に先立つ10月14日、維新の馬場代表が東京メトロ南千住駅近くで街頭演説を行いました。応援に駆け付けたのは、東京29区から立候補している海老沢由紀・元大阪市議の支援です。しかし、現場での状況は厳しいものでした。3連休の最終日にもかかわらず、聴衆はわずか10人程度。ほとんどの人が足を止めることなく通り過ぎてしまい、馬場氏の訴えはほとんど耳に届いていないかのようでした。
馬場氏は「まあ、こんなもんやろ。3連休で地域に人もおらへんし、よそから来た人がいっぱいで、あんま人は集まらへん。そもそも、(維新は)動員とかもせんからね」と語り、あまり気にしていない様子でしたが、党内では深刻な問題として受け止められています。ある維新関係者は、「馬場さんら役員クラスが応援に入る場合は、通常、維新の関係者が積極的に動員を行います。今回はそれができなかったということは、動員力が著しく低下している証拠です」と語っています。
吉村知事の街頭演説でも動員力低下
一方、吉村府知事も今回の選挙で東京入りし、応援演説を行いました。特に若者からの支持が厚く、維新の「客寄せパンダ」として知られる吉村氏ですが、その彼ですら集客に苦戦している様子が伺えます。
吉村氏が立ったのは、赤羽、新宿、渋谷といった人通りの多いエリアでした。赤羽では約300人の聴衆が集まり、まずまずの反応を得たものの、新宿では約100人、渋谷でも200人程度と、かつての彼の街頭演説に比べてはるかに少ない数字です。以前は聴衆1000人を集めることも珍しくなかっただけに、この動員力の低下は維新にとって危機的な状況を示しています。
党内でも「さすがにヤバい」との声が上がっており、維新の危機感は高まっているようです。
維新の動員力低下の背景
維新の街頭演説に人が集まらない理由はいくつか挙げられます。まず、大阪・関西万博の費用が膨れ上がっている問題や、兵庫県の斎藤前知事に関連するスキャンダルなどが、維新のイメージに悪影響を与えている可能性があります。また、党内の士気が低下していることも一因かもしれません。選挙区によっては、早くも「勝ち目がない」と諦めムードが漂っているという話も聞こえてきます。
実際、吉村氏が応援に入った選挙区は、29区を避け、当選可能性があると見られる赤羽、新宿、渋谷などの候補者に絞られたようです。これにより、「29区は捨てられた」との噂が広まっています。海老沢氏自身も、この状況を前にしてどこまで戦えるか、厳しい選挙戦になることは間違いありません。
維新の今後の戦略と展望
維新の会は、今後も引き続き空中戦に頼り、SNSや広告を活用した選挙戦を展開していくと見られています。しかし、SNSでは新CMや全面広告に対して「金満選挙だ」と批判の声も上がっており、こうした施策がどれほど効果を上げるかは未知数です。
党勢を立て直すためには、地元での支持を回復し、街頭演説においても実際に人々の声を聞き、対話を重ねることが必要かもしれません。このままでは、維新は選挙で苦戦を強いられる可能性が高いでしょう。選挙戦の結果がどのように出るかは27日の投開票日に注目が集まりますが、今のところ維新にとっては厳しい戦いになると予想されています。