取材を重ねるうちに、教育費の問題は思った以上に深刻だと実感しています。私自身、学資保険の加入を検討し始めたところですが、多くの親御さんから「もっと早くから準備しておけば良かった」という声を聞いてきました。教育費の増加は、少子化や経済格差の拡大とも密接に関連しており、私たちの未来に大きな影響を及ぼす問題です。
今回は、取材で得た最新データと専門家の見解を基に、教育費の実態とその負担を軽減する具体的な対策をお伝えしていきます。
教育費の現状:データが示す問題の深刻さ
驚くべき教育費の総額
先日、ある教育費セミナーで衝撃的な数字を目にしました。日本政策金融公庫の2021年度の調査によると、子ども1人あたりの教育費は高校入学から大学卒業までで平均942万円なのだそうです。
私もこの数字を見て、思わずため息が出ました。これは多くの家庭の年収をはるかに超える金額です。さらに、進学先や住環境によっては、教育費が1000万円を超えるケースも少なくありません。
国際比較で見える日本の特徴
先日、教育経済の専門家への取材で興味深いデータを教えていただきました。
- OECD加盟36カ国の教育費公的支出割合の平均は12%
- しかし日本は8%で、下から3番目という低さです
高等教育の家庭負担率を見ると:
- OECD加盟国平均:19%
- 日本:約50%
取材した専門家は「日本の教育システムは、世界的に見ても異常なほど家計に依存している」と指摘していました。確かに、周りの家庭を見ていても、教育費の捻出に苦労している様子が伺えます。
教育費が家計を圧迫する理由
1. 根強い「家庭負担」の考え方
立教大学の中澤渉教授への取材で印象的だったのは、「日本では高等教育を『家庭が負担するもの』という価値観が強すぎる」というご指摘でした。実際、私の周りでも「子どもの教育費は親の責任」と考えている方が多く、その負担に悩みながらも声を上げづらい空気があります。
2. 地方特有の負担増
先月、鹿児島県の教育現場を取材した際、地方ならではの深刻な問題に出会いました。
地方の家庭が直面している現実はこうです
- 地元には希望する学部がある大学が少なく、多くの学生が県外に進学せざるを得ません
- 自宅外通学には年間で95万円もの仕送りが必要です
- 実家から通える範囲の大学が限られているため、進路の選択肢も狭められがちです
取材で出会った山田さん(仮名)は「長男の仕送りだけで毎月8万円。次男も来年から大学生になるので、正直どうしたものかと」と不安を語ってくれました。
3. 義務教育でもかさむ費用
「義務教育は無償」とされていますが、実際にはさまざまな費用がかかります
- 学用品代:文房具や教科書、その他の教材費用
- 給食費:物価高の影響で年々増加傾向にあります
- 塾や習い事の費用:学校教育の補完として必要不可欠になりつつあります
先日取材した鹿児島県の例では、就学援助対象の小中学生が22%(全国3位)にも上っていました。この数字からも、多くの家庭が教育費の負担に直面している現状が見えてきます。
教育費負担を軽減する具体的な方法
1. 利用可能な支援制度
給付型奨学金
取材先の高校で出会った進路指導の先生は、「意外と知られていませんが、給付型奨学金は近年充実してきています」と教えてくれました。
- 対象要件:家庭の経済状況により審査があります
- 給付額:収入に応じて決定され、学費や生活費の補助になります
- 申請方法:学校や地域の奨学金窓口での相談から始められます
貸与型奨学金
私も大学時代に利用した経験がありますが、貸与型奨学金は計画的に利用すれば強い味方になります
- 日本学生支援機構(JASSO)の無利子・有利子奨学金
- きめ細かな返済計画の設定が可能
- 卒業後の収入に応じた返還制度も整備されています
2. 就学援助制度の活用
取材先の市役所で、意外にも「申請可能なのに利用していない家庭が多い」という話を聞きました。
就学援助では以下の費用が補助されます
- 学用品代
- 給食費
- 修学旅行費
- その他、自治体により様々な補助があります
先日話を聞いた利用者の方は「申請の手続きは意外と簡単でした。もっと早く知っていれば」と話していました。
3. 教育費の計画的な準備
ファイナンシャルプランナーの田中さん(仮名)は、こう助言してくれました:
「教育費の準備は、その家庭に合った方法で進めることが大切です。一律の答えはありません」
具体的な準備方法として
- 教育費の見積もり:進学希望に応じた具体的な金額設定
- 積立プラン:家計に無理のない範囲での定期的な積立
- 金融商品の活用:学資保険やNISAなど、目的に応じた商品選び
まとめ:教育費負担の軽減に向けて
取材を通じて感じたのは、教育費の問題は個人の努力だけでは解決が難しい、社会全体で考えるべき課題だということです。しかし、現在利用できる支援制度を知り、計画的に準備することで、かなりの部分が軽減できることも分かってきました。
この記事を読んでくださった皆さんも、ご自身の状況に合わせて、できることから始めていただければと思います。教育費の問題は、私たち一人一人が声を上げ、よりよい仕組みを作っていく必要があります。
これからも教育費に関する情報を取材し、皆さんにお届けしていきたいと思います。
よくある疑問と回答
- 奨学金の返済は本当に大変?
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実体験から言えば、計画的な利用と返済計画の設定が鍵です。私の場合、大学時代に月8万円の奨学金を借り、卒業後は収入の15%を返済に充てる計画を立てました。確かに負担は大きいですが、無理のない返済は十分可能です。
- 教育費はいつから準備するべき?
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取材したファイナンシャルプランナーは「子どもが生まれたら、すぐにでも準備を始めることをお勧めします」と話していました。実際、早めに準備を始めた家庭ほど、余裕を持って教育費に対応できているようです。
- 塾なしでも大丈夫?
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最近取材した公立高校の先生は、こう話してくれました:
「塾に行かなくても、学校の授業をしっかり受け、家庭学習の習慣をつければ十分です。最近は質の高い無料のオンライン教材も増えています」