『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』が酷評の嵐—なぜ続編は失敗したのか?

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続編に漂う失望の空気

DCコミックスの人気キャラクター、ジョーカーの続編『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』が2024年10月に公開されました。しかし、この続編は多くのファンや映画批評家から厳しい評価を受けています。前作はR18指定ながら10億ドルを超える興行収入を記録し、社会現象とも言える成功を収めましたが、それに比べて今回の続編は大きな落差を感じさせます。

特に驚くべきは、Rotten Tomatoesでの批評家スコアが33%、観客スコアが35%という非常に低い評価です。これは過去のアメコミ映画と比べても異例のことであり、多くのファンが「なぜこうなったのか?」と疑問を抱いています。本記事では、この続編がなぜ失敗とされているのか、その理由について探ります。

なぜ続編は失敗したのか?

1. ミュージカル要素が受け入れられなかった

『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』が酷評された理由のひとつに、ミュージカル要素の導入があります。前作のジョーカーが階段で踊るシーンが印象的だったこともあり、今回はその要素を拡大し、映画全体をミュージカル仕立てにしました。しかし、多くのファンにとってこれは不評でした。

批評家や観客の間では「ミュージカルにするべきではなかった」「楽曲の質が低い」という声が多く上がっています。また、ホアキン・フェニックスがミュージカルシーンにあまり積極的に参加していなかったこともあり、映画全体に一体感が欠けていたとの指摘もあります。

このミュージカル化は、新しい挑戦として評価する声も一部にありますが、大半は「前作のシリアスなトーンを壊している」「ジョーカーにミュージカルは合わない」という批判的な意見が多く見られました。

2. 続編の必要性が疑問視されていた

前作『ジョーカー』は、アーサー・フレックという男が社会から孤立し、ジョーカーへと変貌していく過程を描き、多くの観客に衝撃と共感を与えました。その物語は、一作限りで完結するのにふさわしいものだったという意見が多く、続編の制作には当初から疑問の声が上がっていました。

続編が発表された際から「蛇足ではないか?」と心配する声が少なくありませんでした。実際に映画が公開されると、その懸念は現実のものとなり、「前作の美しい終わり方に傷をつけた」との批判が相次ぎました。特に「続編を作ることで、前作の曖昧な終わり方が台無しになった」という意見が多く見受けられました。

前作の曖昧さ—それが妄想だったのか現実だったのかを観客に考えさせる部分—が魅力のひとつでしたが、続編でその要素が失われてしまったことが、観客にとって大きな失望となったようです。

3. レディ・ガガのハーレークイン起用が物議を醸した

続編では、新キャラクターとしてレディ・ガガがハーレークインを演じていますが、このキャスティングも賛否を呼んでいます。彼女の演技は評価する声もある一方で、「ハーレークインのイメージと合わない」「ジョーカーが孤独な存在でなくなった」との批判が多く寄せられています。

ジョーカーが孤独で理解されない存在であることが前作の大きな魅力の一部だったため、ハーレークインの登場によってその魅力が薄まったという意見が多く見られます。また、「ハーレークインとの関係がジョーカーをただの恋物語にしてしまった」との声もあり、ジョーカーの持つ不気味さや孤独感が失われたと感じる人が多かったようです。

批評家も観客も共に酷評した理由

アメコミ映画において、批評家と観客の評価が一致することは珍しく、たいていの場合はどちらかが高評価をつけることが多いです。しかし、今回の『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』は両者から酷評されました。Rotten Tomatoesのスコアは批評家33%、観客35%という結果であり、「批評家の意見は気にしないが、観客まで酷評しているのは本当にダメ」というコメントも見られました。

この結果からも、ジョーカーというキャラクターの続編を無理に制作したことが、ファンの期待を大きく裏切る形になったと言えます。映画ファンからは「続編を作るべきではなかった」「無理に続編を作ったことで、前作の価値を下げてしまった」といった声が多く上がっています。

続編制作における教訓

『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』の失敗は、映画業界にとって大きな教訓を残しました。特に、成功した映画の続編を作ることが必ずしも良い結果をもたらすわけではないことを改めて浮き彫りにしています。多くのファンが指摘するように、1作目はそれ自体で完結した物語であり、その余韻を残しておくべきだったのです。

続編の制作において、「どうすれば観客が前作と同じ、もしくはそれ以上の感動を得られるか」を十分に考慮することが求められます。特に、前作が社会に大きな影響を与えた場合、その続編にはより慎重な企画が必要です。

今回の失敗を通じて、アメコミ映画はこれからどのように進化するのかが注目されます。DCやマーベルといった大手のスタジオは、これまでの成功に甘んじることなく、新しい挑戦を続ける必要がありますが、その挑戦がファンの求めるものでなければ失敗に終わることもあるのです。

今後のアメコミ映画の未来

『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』の低評価は、アメコミ映画が転機を迎えていることを象徴しています。これまでは、ヒット作には続編が当たり前のように制作されてきましたが、その流れがファンにとって受け入れられない場合もあるという現実が明らかになりました。

これからのアメコミ映画は、単に続編を制作するのではなく、観客が何を求めているのか、どのような物語が本当に必要とされているのかを見極めることが重要です。『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』の経験を活かし、より深いテーマや新鮮な視点を持った作品が生まれることを期待しています。

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