最近、渋谷駅に掲出されたダヴの広告が話題を集めています。でも、残念なことに、その話題はあまりポジティブなものではありません。この広告が「逆効果だ」として、多くの人から批判を受けているんです。「Eライン」や「中顔面6.5cm」といった言葉を大きく掲げ、それらに取り消し線を引いて「カワイイに正解なんてない」というメッセージを伝えていたんですが…その結果、思いがけず大きな反発を招いてしまいました。
では、なぜこの広告が逆効果と見なされてしまったのか、詳しく見ていきたいと思います。
ダヴの広告が伝えたかったこと
まず、ダヴが伝えたかったのは「美しさには正解なんてない」というメッセージ。広告には「Eライン(鼻と顎を結ぶ直線)」や「中顔面6.5cm(目の下から唇までの距離)」など、美しさの基準とされる具体的なワードが並び、それらに取り消し線が引かれていました。つまり、こうした基準にとらわれず、もっと自分らしい美しさを大切にしよう、という意図だったんです。
ダヴはこの広告を、国際ガールズデー(10月11日)に合わせて掲出しました。目的は、若者がルッキズム(外見至上主義)に悩まされないように、自己肯定感を育てることでした。これは非常に重要なテーマで、特に思春期の子どもたちに向けたメッセージとしては素晴らしいものだと思います。
でも、実際にはそのメッセージがうまく伝わらなかったんですね。広告の内容が「逆にコンプレックスを煽っている」「知らなかった基準をわざわざ広めてしまっている」という批判が殺到する結果に…。
SNSで寄せられた声
SNSでは多くの人がこの広告についてコメントしています。たとえば、こんな声がありました。
「知らなかった言葉をわざわざ広めて、かえって気にする人が増えるんじゃない?」
(広告を見て、今まで気にしていなかったことが気になるようになる…ってこと、確かにありそうですよね。)
さらに、別の人はこんなエピソードをシェアしていました。
「昔、小学校で『嫌なあだ名をなくそう』ってキャンペーンがあったんだけど、みんなが書いた嫌なあだ名を教室に貼り出したら、逆にそのあだ名が大流行しちゃったんだよね。それを思い出した」
(これはちょっと笑っちゃいましたが、確かに同じようなことが今回の広告でも起こっている気がします。)
確かに、広告に書かれた美の基準を知らなかった人にまで、その基準が広まってしまうという指摘は納得です。「Eラインって何?」とか、「中顔面が短いと可愛いって本当?」といった新たな疑問を持ってしまう人もいるでしょう。
逆効果の理由とは?
では、なぜこの広告が「逆効果」と見なされたのでしょうか?
一つの理由は、広告の伝え方です。広告には取り消し線が引かれていたものの、その前に大きく書かれた「Eライン」や「中顔面6.5cm」といった言葉がどうしても目立ちます。人間は不思議なもので、否定されたものほど気にしてしまうという心理があるんですよね。あるユーザーがこんなふうに言っていました。
「消されてる言葉ほど気になるよね。人間ってそういうものだよ」
(たしかに、「気にしなくていいよ」と言われても、ついつい気にしてしまうのが人間の性ですよね。)
さらに、「スペ110」という言葉もSNSで大きな話題になりました。「スペ110」とは身長と体重の差を意味する言葉で、これも広告で取り消し線が引かれていました。しかし、この言葉を知ったことで、今まで気にしていなかった人たちが「自分はその基準に達していないのかも…」と感じる危険性があるんです。
あるSNSユーザーのコメントがこの問題を的確に表現していました。
「わざわざ取り消し線で消すってことは、その基準が一度は正しいと思われてるってことでしょ?それを見たら、逆に気になるよ」
この指摘も鋭いですよね。取り消し線を引いても、その言葉自体が頭に残ってしまうというのは、多くの人が感じたことだと思います。
美しさの基準って誰が決めたの?
そもそも、美しさの基準って誰が決めたんでしょうか? 「顔が小さい方がいい」「Eラインが綺麗だと横顔が美しい」といった基準は、時代や文化によって変わるものです。そして、今の日本でもSNSやメディアを通じて、ある種の美しさが「これが理想だ」とされてしまうことが多いですよね。
しかし、あるコメントがこの問題の本質を突いていました。
「みんな違ってみんないい、なんて言われてるけど、結局誰から見ても美しい顔があるんだよね。揺るぎない美形っていうのは、やっぱり存在するんだよ」
(この意見、ちょっと考えさせられますよね。個性を大事にしようっていうメッセージは素敵だけど、その裏にある「誰もが認める美しさ」っていうプレッシャーはやっぱりあるのかも…。)
ダヴは、「美しさに正解はない」というメッセージを伝えたかったのでしょうが、そのメッセージがうまく伝わらず、逆に「こんな基準があるんだ」と新しいプレッシャーを与えてしまう結果に。これが、広告が「逆効果」と批判された大きな理由だと思います。
ユニリーバの対応は?
この炎上を受けて、ユニリーバ側はどう対応したのでしょうか?残念ながら、ユニリーバは「お答えしかねます」というスタンスを貫いています。これについてもSNSでは批判が集まっています。
「批判がこれだけ集まってるのに、なぜ何も説明しないの?問題提起するなら責任を持って説明すべき」
確かに、こうした問題が起きた時には、企業側からの説明や謝罪があると少しは状況が落ち着くことが多いですよね。しかし、ユニリーバが沈黙を守ることで、批判はさらに大きくなってしまっているようです。
広告のあり方を考える
今回のダヴの広告キャンペーンは、「美しさの多様性」を伝えようとしたものであり、その意図は理解できます。でも、伝え方が間違ってしまうと、逆効果を生んでしまうということを教えてくれました。特に、若者が多く利用する渋谷駅という場所にこの広告が掲示されたことで、影響力も大きくなってしまったのかもしれません。
美しさの基準にとらわれないで、自分らしく生きることの大切さを伝えるメッセージは素敵なものですが、それをどのように伝えるかが本当に大事だと感じます。
最後に、こんなコメントを紹介したいと思います。
「カワイイに正解なんてない、なら、そもそもこんな基準を取り上げる必要がないんじゃないかな。もっと違う伝え方があったと思う」
私も、この意見に大きく共感します。美しさに正解なんてないと伝えるためには、もっとポジティブな方法で、より多くの人が元気づけられる広告があってもいいんじゃないかなと思います。