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Netflix『極悪女王』全話ネタバレ!あらすじ・キャスト紹介と口コミレビュー

Netflixシリーズ『極悪女王』は、1980年代にカリスマ的人気を誇り、女子プロレス界を席巻したダンプ松本の知られざる物語を描いた全5話のドラマです。彼女が悪役レスラーとして成功するまでの苦悩と成長を、壮絶な試合シーンと共に描きます。

目次

あらすじ

物語は、幼い松本香(後のダンプ松本)が、父親への強い憎しみを抱いていた雨の日、全日本女子プロレス(全女)の練習場に足を踏み入れ、ジャッキー佐藤というカリスマレスラーに一目惚れする場面から始まります。彼女はその日からプロレスラーになることを夢見ます。高校卒業後、香は全女の入門オーディションに挑み、ぎりぎりで合格。同期の長与千種や北村智子(後のライオネス飛鳥)と共に、過酷なトレーニングを積んでいきます。

しかし、香は順調にデビューすることができず、プロテストに何度も落ちてしまいます。その一方で、同期の長与千種はプロレスラーとしての道を着実に歩み、智子と「クラッシュ・ギャルズ」というタッグを結成。瞬く間に国民的アイドルとなり、人気を集めます。香は、親友である長与の成功を間近で見ながらも、嫉妬と羨望が交じり合った複雑な感情を抱き続けます。

そんな中、香はヒール(悪役)としての道を選びます。ダンプ松本としてデビューし、奇抜なメイクや鉄の鎖を持つスタイルで観客を圧倒。ダンプが率いる「極悪同盟」は、瞬く間に女子プロレス界で悪役としての地位を確立し、クラッシュ・ギャルズとの壮絶な戦いが始まります。

物語のクライマックスは、日本中を熱狂させた「敗者髪切りデスマッチ」です。リング上で長与千種とダンプ松本が激突し、この試合は女子プロレス史に残る名勝負となりました。この試合だけでなく、ドラマでは当時のプロレスシーンを忠実に再現し、ファンや観客の熱狂もリアルに描かれています。

ゆりやんレトリィバァが体当たりで演じたダンプ松本は、単なる悪役に留まらず、女性としての葛藤や社会との闘いも見せます。さらに、長与千種役の唐田えりか、ライオネス飛鳥役の剛力彩芽といった豪華キャストが、当時のレスラーたちの戦いをリアルに再現しています。

『極悪女王』は、ダンプ松本の半自伝的作品として、彼女の苦悩と成功、そして女子プロレスの黄金時代を描いた熱いドラマです。当時のファンにとっては懐かしく、現代の視聴者には新鮮な驚きを与える作品です。

登場人物・出演者

ダンプ松本
演 – ゆりやんレトリィバァ
カリスマ的な悪役レスラー(ヒール)として日本全国に衝撃を与えた、極悪同盟のリーダー。

ライオネス飛鳥
演 – 剛力彩芽
長与千種とタッグを組み「クラッシュ・ギャルズ」として女子プロレス界を代表するスター選手の一人。

長与千種
演 – 唐田えりか
「クラッシュ・ギャルズ」のリーダーであり、国民的アイドル的存在のスター選手。ダンプ松本の最大のライバルであり親友。

ジャッキー佐藤
演 – 鴨志田媛夢
女子プロレス界の伝説的タッグチーム「ビューティ・ペア」のメンバーで、ダンプ松本が憧れる存在。

マキ上田
演 – 芋生悠
「ビューティ・ペア」のもう一人のメンバー。ジャッキー佐藤と共に女子プロレスのアイドル的存在だった。

ジャガー横田
演 – 水野絵梨奈
実力派の女子プロレスラーで、1980年代の女子プロレス界を代表する一人。

デビル雅美
演 – 根矢涼香
強烈な個性と実力を持つヒールレスラーで、ダンプ松本のライバルでもあり同志。

大森ゆかり
演 – 隅田杏花
「ダイナマイト・ギャルズ」のメンバーで、プロレス界で活躍するレスラーの一人。

ジャンボ堀
演 – 安竜うらら
「ダイナマイト・ギャルズ」のもう一人のメンバーで、強力なレスラーとして知られる。

クレーン・ユウ
演 – えびちゃん(マリーマリー)
ダンプ松本率いる「極悪同盟」のメンバーで、悪役レスラーとしての活躍が目立つ。

ブル中野
演 – 堀桃子
ダンプ松本の後継者的存在で、「極悪同盟」の一員。後にカリスマ的なヒールとして大成。

影かほる
演 – 戸部沙也花
「極悪同盟」の一員としてダンプ松本を支える悪役レスラー。

ラブリー米山
演 – 鎌滝恵利
女子プロレス界で活動するレスラーで、他の選手たちと共に戦う。

松本里子
演 – 仙道敦子
ダンプ松本の母親で、彼女の人生とプロレスキャリアに大きな影響を与える。

松永高司
演 – 村上淳
全日本女子プロレスの会長で、松永兄弟の三男。団体運営の中枢を担う。

松永国松
演 – 黒田大輔
松永兄弟の四男で、レフェリー「ジミー加山」として女子プロレスの舞台を支える。

松永俊国
演 – 斎藤工
松永兄弟の五男で、団体の運営やプロモーションに大きく関与する。

阿部四郎
演 – 音尾琢真
興行プロモーター兼レフェリーとして、女子プロレスの舞台裏で活躍する重要人物。


この記事では、Netflixシリーズ『極悪女王』の大ヒットを祝し、キャストやスタッフへの感謝の気持ちを込めて、その成功を振り返っています。主演のゆりやんレトリィバァさん、唐田えりかさん、剛力彩芽さん、隅田杏花さんが、それぞれの役に情熱を注ぎ、視聴者を魅了しました。彼女たちの全力の演技が話題を集め、多くの共感を呼んでいます。また、作品のリアルな再現を支えたスタッフの尽力にも触れ、女子プロレスの熱気と歴史を描くこのドラマの魅力を紹介しています。興味をお持ちの方は、ぜひご覧ください。

極悪女王の口コミレビュー

一気見するほど面白い!ゆりやんの演技が素晴らしく、昭和感の作り込みも見事。平成生まれの俳優が多いのに、時代感を忠実に再現しているのがすごい。プロレスシーンの迫力も本格的で、緊張感が伝わってきた。

泣けるスポ根ドラマで、ゆりやんも良かったが、長与役の唐田エリカがMVP。試合シーンは髪切りマッチ以外やや単調で終盤は少し退屈だったものの、引退マッチで同期全員が集まり、ダンプと長与がタッグを組む瞬間は感動的で胸が熱くなった。

全5話を一気見!ゆりやんの怪演に圧倒され、白石&茂木が描く生々しい人間模様が見事。鈴木おさむ脚本の、実在の人物と出来事を基にしたフィクションがリアル感を強調。ダンプ松本視点で描かれる全日本女子プロレスも新鮮で、どこまでが実話か不明ながら、当時の熱気は鮮明に蘇る。演者の体づくりや、長与千種監修のプロレスシーン、美術の再現度に本気度を感じた。

ゆりやん、唐田えりか、剛力彩芽の演技が圧巻!この難しい役を見事に演じ切った彼女たちの努力が伝わってきて感動しました。役者の本気が感じられ、心を揺さぶられるシーンが多かったです。本当にスゴイ!

ストーリーは普通ですが、俳優陣のプロレスシーンが圧巻。ゆりやんは完全にダンプ松本に見え、唐田えりかと剛力彩芽もクラッシュギャルズそのもの。彼女たちの迫真の演技で、プロレスの熱気がリアルに伝わってきます。

女子プロレスとの出会いから引退までを描いた全5話は、苦しい新人時代やヒールレスラーとしての転機、極悪同盟の結成がリアルに迫ってくる。「強さ」を求め、生き抜こうとした彼女たちが、興行によって残酷に「消費」されていく姿が胸を打つ。引退試合での彼女たちの姿に気づけば涙が止まらず、彼女を突き動かす一貫した原動力が、悲しさと同時に日本中に光を放つほどの存在感を与えたのかもしれない。

ゆりやん、最初は不安だったけど、回を追うごとに演技が進化し、終盤には圧巻の迫力と素顔の魅力が際立っていました。唐田えりかの千種役も印象的で、身体を張った演技が孤独な少女の心情を見事に表現。剛力彩芽はやや引き立て役に回っていたけど、しっかり頑張っていました。男性陣も阿部役の俳優がいい味を出し、匠さんも社長に押されつつも巧みに演じていました。プロレスに翻弄されながらも自己実現を追い求める少女たちの姿が、予想以上に面白く描かれていたと思います。

ダンプ松本が選手になる前から丁寧に描かれ、リング上だけでなく、人々の交流や価値観の衝突が女子プロレスを時代の象徴へと押し上げたことを知りました。幼少期にテレビで見た乱闘シーンの怖い記憶も、完全に塗り替えられました。誹謗中傷が簡単に広がる現代において、この作品は多角的な視点で物事を考えさせられ、見終わっても興奮が冷めないほど印象的でした。

ネタバレ・エピソード全5話

このストーリーは、実際のドラマとは少し異なる部分もありますが、全体の流れはほぼ同じです。ドラマの世界観や雰囲気をもっと深く味わいたい方は、ぜひ動画をご覧になってみてくださいね。

第1話 松本香の物語:始まり

1974年、小学生の松本香。少しぽっちゃりした体型で、素直で優しい女の子——それが香(かおる)です。将来、この女の子が「孤高のヒール」として女子プロレス界で最高の憎まれ役になるとは、誰も想像していませんでした。

妹と二人でビール瓶を集め、それを酒屋に持って行ってお金に換える。それで食べ物を買ったり、ごほうびのソーセージを母にあげたり。貧しいけれど、どこか楽しい日々でした。

母親の松本里子は工場で働き、ミシンの内職もこなしながら、何とか家計を支えています。

――そんな松本家の問題は、飲んだくれの父親でした。

父親の五郎と外の女

父親の五郎は、ほとんど家に帰ってきません。他の女性の家に入り浸り、家に戻る時は決まってお金をせびるためです。子供たちの給食費まで奪っていく始末で、そんな父に母の里子も頭を抱えていました。

ついに、五郎が持ち去った給食費を取り戻すために、母と香は彼が入り浸っているという女性のアパートを訪ねることになります。現れたのは赤ん坊を抱えた女性でした。そこに顔を出した五郎に、里子が「お金を返して」と頼むものの、五郎は冷たく「帰れ」と言い放ちます。

その時、その女性が叫びました。「やめなよ!香が泣いちゃうじゃん!」。

驚いたことに、五郎はその女性との間にも子どもを作っており、その子どもに同じ「香」という名前を付けていたのです。衝撃を受けた香は、その場を飛び出し、土砂降りの広場で膝をついて泣き出しました。

すると、知らない男性がタオルを差し出してきました。そこは、なんと「女子プロレス」の練習場だったのです。

女子プロレスとの出会い

香の目の前で繰り広げられたのは、壮絶なプロレスの試合。殴られ、投げられ、それでも何度も立ち上がる選手たち。その中でも、青いシャツを着た女性の姿が香の心に焼き付けられました。どれだけ倒されても立ち上がる、その姿に釘付けだったのです。

その女性は、後に「ビューティ・ペア」として女子プロレス界のトップスターとなるジャッキー佐藤でした。

高校生になった香

あれから5年後、1979年。香は高校生になり、ジャッキー佐藤のプロレス試合を見ることが日々の楽しみになっていました。ジャッキーは憧れの存在です。ジャッキーと「マキ」が組んだビューティ・ペアは、プロレス界のアイドル的存在で、試合だけでなく歌も歌うほどの人気者でした。

しかし、そんな二人が仲違いし、無茶な企画で戦わされることに。負けた方が引退するという試合。満員御礼の観客が見守る中、勝利したのは意外にもジャッキーでした。けれど、その試合でマキを倒したことは、ジャッキーの心に深い傷を残したのです。

パン屋への就職と葛藤

香はもうすぐ卒業。母が近所のパン屋に就職をお願いしてくれていました。「お姉ちゃん、よかったね!」と喜ぶ妹の広美。

でも、香の心は揺れていました。手元には「全日女子プロレス 新人オーディション」の案内が届いていたからです。自分もプロレスラーになりたい……そんな夢があったのです。

それでも、家計を支えるために安定した仕事に就こうと、香はパン屋で働くことを決心しました。

「やりたいことをやる」と決意した日

パン屋の移動販売で働いていた香。ある日、転がってきたボールを女の子に手渡します。その子の母親が「香」と呼ぶのを聞き、香は驚きました。かつて父親が入り浸っていたあの女性だったのです。

「五郎はろくでなしだった。あれからすぐに追い出したよ。あんたも自分の好きなことをして、あの男を見返してやりなさい」。そう励まされた香は、心の奥に眠っていたプロレスへの思いが一気に溢れ出しました。

その日は偶然にも女子プロレスのオーディションの日。香は覚悟を決め、会場へと走り出しました。

女子プロレスのオーディション

オーディションは、想像以上に厳しいものでした。体力テストに次ぐ体力テスト。香は普段からスポーツをしていないため、結果はあまり良くありませんでしたが、なんと合格。

家に帰ると、母と妹は静かにうどんを食べていました。香が謝ると、里子は無言で箸とお椀を差し出しました。その仕草から、母が香の夢を理解してくれていることを感じ、香の目には涙が溢れました。

厳しい練習の日々

オーディションに合格したからといって、すぐにプロデビューができるわけではありません。毎日の厳しい練習が続き、香はいつも最後にゴールする。ランニングでも、力仕事でも、他の選手に追いつけない。

練習を指導するのは松永俊国。スパルタ教育を耐え抜くことができなければ、道は閉ざされるばかりです。

香と長与の友情

そんなある日、香は同期生の長与千種がリング下で寝泊まりしていることを知ります。家もなく、食べる物にも困っていた長与に、香は自分の幼少期を思い出しました。そして二人でビール瓶を集め、お金を稼ぐことを始めたのです。

彼女たちは、他の練習生と比べて成績は振るわない。それでも、プロレスへの思いは誰よりも強く、必ず強くなると誓い合いました。

デビュー戦と運命のプロテスト

デビュー戦の日が近づく中、北村智子と大森が試合を行う。香もまた、その前にプロテストを受けますが、思うように動けない。打たれ、投げられ、そして再び倒れる。

しかし、倒れ込み鼻血を出した香が自分の血を見た瞬間、何かが弾けたのです。そこから猛然と反撃を開始し、激しい試合が繰り広げられました。周囲が呆然と見守る中、香はついにプロテストに合格したのです。

第2話 松本香の物語:仲間たちとの葛藤と成長

極貧の少女時代を乗り越え、女子プロレス界に足を踏み入れた松本香。しかし、デビューは遅れ、プロレスラーとしての道はまだ遠い。同期の仲間たちは次々とデビューしていく中、香は選手たちの護衛やロッカールームの行き来が仕事の日々。自分の名前がポスターに載る日を、ただ夢見るばかりでした。

長与千種のデビュー戦

ついに香の親友、長与千種のデビュー戦の日がやってきました。対戦相手は堀あゆみ。後に「ジャンボ堀」として活躍する彼女は、香にとっても注目の選手でした。リング下で長与を応援する香。しかし、長与のデビュー戦は厳しいものでした。観客の入りも悪く、プロレス界全体が厳しい状況にあることを痛感します。

母からのプレゼント

そんな中、妹の広美が香を訪ねてきました。洋裁が得意な母・里子が、香のために作ったユニフォームを持ってきたのです。デビュー戦で着られるようにと、心を込めた母からのプレゼント。それを手にした香は、デビューへの決意を新たにします。

松永からの呼び出し

プロレスの寮では、ライバル同士ながら共同生活を送り、時には楽しみも共有しています。しかし、ある日松永から呼び出された香に、周囲は「ついにデビューか!」と盛り上がりましたが、実際には「運転手」をしてほしいという依頼でした。仲間たちが練習に励む中、香は宣伝カーを運転して町中を走り回る日々が始まります。

プロモーター・阿部四郎との出会い

香は阿部四郎という怪しげなプロモーターに出会います。免停になった阿部の代わりに運転手をしていた香は、落ち込んでいました。なぜ自分だけがこんな仕事をしているのか、仲間たちは次々とデビューしているのに、と。そんな香に、阿部は「売れるプロレスラー」になるためのアドバイスを語ります。

「スターってのは自然に光り出すんだ。光ったら客は吸い寄せられる。そうなったら、金はガッポガッポだ」と。阿部の話は大雑把ながらも、香は真剣に耳を傾けました。

長与千種の葛藤

一方、長与千種は空手が得意でしたが、プロレスでは空手の技を使うことが難しく、思うように勝てません。相手を傷つける技は禁止されており、そのジレンマに苦しんでいました。そんな時、ジャッキー佐藤が長与を訪れ、アドバイスをくれます。

「強くなるしかないよ。スターになれば、会社もあなたを無視できなくなる。だから、スターになるんだ」と。その言葉は、長与に新たな決意を抱かせました。

香のデビュー戦決定

香は阿部に連れられ、ある会社で記念撮影をすることになります。ラ・ギャラクティカの衣装を着て社長と写真を撮り、スポンサーを獲得するためです。気が進まない香でしたが、その結果、ついにデビュー戦が決まりました。

香のデビュー戦と初めての敗北

待ちに待ったデビュー戦。しかし、対戦相手はモンスター・リッパーという強敵。香は一方的に蹴られ、叩かれ、倒され続け、全く歯が立ちませんでした。試合は惨敗。倒れたまま、リングから立ち上がることもできない香。プロレスの厳しさを思い知ります。

窃盗事件と仲間たちの絆

そんな中、ロッカールームで大事件が起こります。堀あゆみの財布が長与千種のバッグから見つかったのです。これは先輩たちによるいじめだと知っていた香と北村は、黙っていられませんでした。香はすぐに長与に知らせ、対処しますが、会社は先輩を擁護するだけ。理不尽な状況に、仲間たちはさらに団結を強めていきます。

ジャッキー佐藤の葛藤と引退

一方、ジャッキー佐藤はビューティ・ペア解散後、落ち目になっていました。スターの座を奪われることを恐れたジャッキーは、松永からの指示で無理に試合に勝ち続けていましたが、ついに若い選手・横田利美に敗北。その後、ジャッキーは引退を決意します。

新たなスターの誕生

横田利美は「ジャガー横田」としてリングネームを授かり、次世代のスターとして期待されるようになります。また、長与千種の親友である北村も「ライオネス飛鳥」として新たなリングネームを与えられ、次の試合に備えていました。

長与千種 vs ライオネス飛鳥

そして、長与と飛鳥の死闘が始まります。空手の技を繰り出す長与、そして猛反撃する飛鳥。試合は激しい張り手の応酬から始まり、場外乱闘にまで発展。観客の歓声が響き渡る中、勝負の行方はわからないまま、最後の瞬間に両者が倒れ込む。

勝利の女神は飛鳥に微笑みました。試合後、二人は互いに力を認め合い、深い絆で結ばれます。

香の決意

その試合をリングサイドで見守っていた香は、強い決意を胸に秘めていました。試合後、彼女は松永のもとに駆け寄り、力強く言います。

「私に試合をさせてください! 私、プロレスがやりたいんです!」

香の声には、これまで以上に強い覚悟が感じられました。

第3話 松本香の物語:ヒールへの道とスター誕生

ジャッキー佐藤の引退後、女子プロレス界を牽引するのはジャガー横田。そして、「クラッシュ・ギャルズ」を結成した長与千種とライオネス飛鳥は、女子プロレス界を熱狂の渦に包み込みました。しかし、リング下で応援するだけの香は焦りを募らせていました。

「一体、私の出番はいつ来るんだ……」

クラッシュ・ギャルズ vs ダイナマイト・ギャルズ

クラッシュ・ギャルズがトップスターとして君臨する一方、「ダイナマイト・ギャルズ」としてヒール役に回った大森ゆかりとジャンボ堀もまた、リングを沸かせていました。場外乱闘や流血が当たり前の試合展開。観客は熱狂し、彼女たちの試合はメインイベントとなっていきます。

しかし、香はそのリングに立てないまま。「自分はこのままでいいのか?」そう自問する日々が続いていました。

ゴールデンタイム復帰への課題

女子プロレスがいくら人気を集めても、テレビ番組の枠は深夜帯ばかり。ゴールデンタイムに復帰するためには、さらなる盛り上がりが必要でした。しかし、クラッシュ・ギャルズが目立つ一方で、ジャガー横田は自分が「噛ませ犬」として扱われていることに不満を抱きます。

「もっと新しいヒールが必要だ」――その課題に松永は香と本庄をヒールにするため、訓練を始めさせました。

ヒールとしての訓練開始

ヒール役として観客を怖がらせること、それは「血」を流すことだと教えられた香。デビル雅美から凶器の使い方を教わります。香は空の一斗缶を渡され、「思いっきり殴れ」と指示されます。元気よく振りかぶって本庄を殴ってしまい、倒れてしまう本庄。

「馬鹿野郎!」と怒鳴られる香。ヒールとしての覚悟がまだ足りないのだと痛感します。

香と本庄の苦悩

一方、香と本庄は凶器を探して頭を悩ませていました。「怪我をさせずに、大怪我をしているように見せる」ためには何を使えばいいのか。「チェーンはどうだろう」とアイデアが出るも、二人はまだ迷いを抱えています。

さらに、新人が寮に入ることになり、引っ越しを迫られる香。新しい水着や覆面、そして凶器の費用がかさみ、困窮した香は久しぶりに家に帰ります。

家族との再会

母と妹に会う香は、家族にうなぎの弁当を差し入れします。しかし、妹・広美は彼氏を連れてきており、母から「クラッシュ・ギャルズのサインがほしい」と頼まれてしまいます。自分がまだヒールとしてもスターとしても活躍していない現実に、香は胸を痛めます。

ヒールになりきれない香

クラッシュ・ギャルズがアイドルのようにリングで歌い踊る姿を、ただ見つめるしかない香。いざデビル軍団としてリングに立っても、相手を攻撃できず、観客を沸かせることができません。千種の頭を攻撃するよう指示されても、手が止まってしまう香。

そんな彼女に、デビル軍団の仲間たちも失望し、次第に見放されていきました。

プロレスを客観的に見る

阿部に連れられ、高い場所からリングを見下ろす香。社長は「ここからなら、プロレスを客観的に見ることができる」と言います。

「プロレスでは、勝ち負けよりもスター性が大事だ。客は勝者ではなく、光っている者に吸い寄せられるんだ」と。

その言葉に、香は何かを感じ始めます。自分が目指すべきものは何か……。

香のヒールとしての覚醒

そんな中、父の五郎がまたトラブルを引き起こします。香の名を騙り、千種のサインを使って金をせしめていたのです。家に戻った香は、父が家族と仲良く夕飯を食べている姿に怒りが爆発。壁を突き破り、トラックの荷台に倒れ込んだ香の額からは血が流れていました。

その瞬間、香の中で何かが変わりました。彼女はついにヒールとしての道を歩み始めます。

ダンプ松本の誕生

リングに戻った香は、デビルメイクを施し、チェーンを手にクラッシュ・ギャルズを襲撃。後ろから千種の首にチェーンを巻きつけ、さらに飛鳥をも容赦なく殴りつけました。その姿を見て、阿部がつぶやきます。

「すげぇ……まるでダンプカーだ」

こうして、松本香は「ダンプ松本」として最強のヒールに生まれ変わったのです。観客からは「帰れ!帰れ!」の大合唱が巻き起こります。香にとって、それは歓喜の瞬間でした。ついに、彼女は自分の居場所を見つけたのです。

第4話 松本香の物語:最強ヒールへの道

1980年代の女子プロレス界は、「クラッシュ・ギャルズ」の絶頂期に突入していました。長与千種(唐田えりか)とライオネス飛鳥(剛力彩芽)は熱狂的なファンに支えられ、その人気はうなぎ登り。しかし、女子プロレス界は新たなスターを必要としていました。そして、そこに現れたのが「ダンプ松本」こと松本香でした。

デビル軍団の解散危機

ダンプ松本はデビル軍団の中心人物として猛威を振るい、試合では本物のチェーンやフォークを使って相手を流血させる過激なスタイルを確立します。観客は恐怖と興奮で試合に引き込まれ、クラッシュ・ギャルズを痛めつけるたびに視聴率は急上昇。松永兄(審判)もダンプに味方し、フォークを渡すなど裏でサポートしていました。

しかし、ダンプの暴走は止まりません。彼女の危険な行為に耐えかねたデビル雅美は「松本とは組めない」と宣言し、デビル軍団は解散の危機に。松本、本庄、中野の3人は「極悪同盟」として独立し、阿部の車で「極悪同盟」を宣伝しながら街を走り回ります。

妹・広美の来訪と家族の亀裂

松本の妹、広美が突然現れました。以前の清楚な妹とは違い、派手な化粧に金髪、タバコを吸いながら姉を非難します。「姉ちゃんのせいで、家族はどれだけ迷惑をかけられたか……」。広美は嫌がらせの電話や手紙が絶えず、さらには彼氏と別れたことを告げて去っていきました。

松本はただ黙って彼女を見送りますが、その胸中は複雑です。孤立し、家族との関係も崩壊していく中で、松本は一層ヒールとしての覚悟を固めます。

クラッシュ・ギャルズの亀裂

一方、クラッシュ・ギャルズの間には徐々に亀裂が生じ始めます。飛鳥は「プロレスに集中したい」と訴えますが、芸能活動を重視する千種との間で意見が食い違います。さらに、ジャガー横田から「このリーグ戦はお前にとってのチャンスだ。優勝して、千種やダンプを超えろ」と激励され、飛鳥はプロレスに対する熱意を再燃させます。

松本の孤独と覚悟

松本は、大森とのプライベートな喧嘩を経て、完全に孤立。ファンレターのほとんどは罵詈雑言や嫌がらせの内容で、松本を深く傷つけました。それでも彼女は「罵詈雑言を糧にして生きるんだ」と自分を奮い立たせます。

トヨテレビ杯争奪 オールジャパン・グランプリ

このリーグ戦は、女子プロレス界最大のイベントで、優勝者はWWWA世界シングル王座に挑戦することができます。クラッシュ・ギャルズも、デビル雅美やダンプ松本たちと総当たり戦で戦い、視聴者は「千種 vs ダンプ」という決勝戦を期待していました。

しかし、準決勝で「ライオネス飛鳥 vs 長与千種」が実現。白熱した試合の末、飛鳥が勝利し、決勝進出を果たします。これにより、観客の期待を裏切る形で、ダンプ松本 vs 飛鳥の決勝戦が決定します。

ヒールとしての本気度

本庄が極悪同盟を離れ、大森のアパートへ移住。プライベートとリングを分ける彼女と、リング外でもヒールを貫く松本は対照的です。松本は中野に「お前はどうなんだ?」と問いかけ、彼女の覚悟を試します。すると、中野は「ブル中野」として極悪同盟の新たなメンバーに。こうして、松本と中野は最強のヒールコンビとして結束します。

決勝戦:ダンプ松本 vs ライオネス飛鳥

決勝戦は、飛鳥の圧倒的な実力により、松本が完敗。飛鳥が武道館でのジャガー横田との対戦を決めるも、試合後の松本は悔しさに震えます。彼女は千種に掴みかかり、「本当はお前と決勝で戦いたかった」と叫びました。その様子を見た松永は、大阪城ホールでの秘策を思いつきます。

松永弟の提案

松永弟は、社長に大阪城ホールでの試合を任せてほしいと提案します。「俺に任せてくれ」と。その裏には、松本香を本物のスターにするための計画が動き出していたのです。

第5話 松本香の物語:最強ヒールから真のプロレスへ

総当たり戦のグランプリでの飛鳥の勝利と会社の不満

1985年、女子プロレス界の注目を集めたトヨテレビ杯争奪オールジャパン・グランプリ。多くのファンや業界の期待を裏切り、ライオネス飛鳥が優勝を果たしました。飛鳥とジャガー横田の一戦が武道館で予定されていたものの、二人の試合はあまり話題性に欠け、会社側も盛り上がりに不満を抱いていました。

大阪城ホールでの秘策

次に控えるのは、大阪城ホールでの一大イベント。松永弟は会場を満員にするために、ある秘策を温めていました。それは「ダンプ松本 vs 長与千種」の一騎打ち。しかも、特別ルールとして「敗者髪切りデスマッチ」が提案されたのです。

1985年 大阪大会:髪切りデスマッチの提案

記者会見でダンプ松本は、手づかみでチキンを食べながら「お前の息の根を止めてやる」と千種に宣戦布告しました。対する千種もこの試合に全力を賭けていました。しかし、舞台裏ではテレビ局が会社に圧力をかけ、「長与千種に勝たせろ」と命令していました。千種の人気は高く、彼女に髪を切らせるわけにはいかないのです。

ダンプ松本の父・五郎の健康状態

一方、ダンプ松本の父・五郎は、長年の飲酒が原因で心筋梗塞の危機に瀕していました。松本は父の健康を心配しながらも、大阪大会の試合に集中する必要がありました。

試合当日:髪切りデスマッチ

試合当日、大阪城ホールは満員の観客で埋め尽くされました。極悪同盟を引き連れたダンプ松本が竹刀を手に登場し、対する千種は馬に乗って入場。試合は激しい反則攻撃の応酬で、フォークで千種の額を刺すなど、過激な展開に観客は息を呑みました。

ところが、予定通り千種に勝たせる時間が迫っても、ダンプ松本は攻撃の手を緩めません。最終的に、松本は千種を10カウントでノックアウトし、千種が敗北するという予想外の結果に。リング上で千種の髪は無理やり切られ、バリカンで丸刈りにされました。

テレビ中継の打ち切りと千種のショック

試合直後、テレビ局には抗議の電話が殺到し、中継は途中で打ち切られる事態に。世間の反発により、今後の女子プロレス中継は中止の方向で進められ、会社は大きな打撃を受けました。千種は試合後、自宅で録画を見ながら打ちひしがれていました。

五郎の危篤と家族の再生

そんな中、松本の父・五郎が危篤状態に陥り、松本は病院へ急ぎます。幸運にも手術は成功し、五郎は一命を取り留めました。憎んでいた父が生き延びたことに、松本は複雑な感情を抱きつつも、母と共に喜びを分かち合いました。

ジャッキー佐藤の復活と会社の動揺

その頃、ジャッキー佐藤が新たに「ジャパン女子プロレス」を立ち上げ、現役復帰を発表。松永たちは彼女の行動に憤慨しましたが、クラッシュ・ギャルズと極悪同盟がいる限り、すぐに影響はないと高を括っていました。

ダンプ松本と長与千種の和解

過酷な試合を終えた松本と千種は、試合後にリング下で語り合いました。「なぜ私たちはこんなに憎しみ合わなければならなかったのか」。お互いに強さを追い求めてきたものの、その代償は大きかったと感じていました。

ダンプ松本の引退宣言と会社の混乱

試合後の記者会見で、ダンプ松本は突然の「引退宣言」をしました。会社側は契約の存在を理由に引退を拒否しますが、松本は「ジャッキー佐藤をあっさり切ったくせに」と反論。さらに、千種も無断で記者会見を開き、「ジャパン女子プロレスと対戦したい」と発表し、会社内の統制が崩れていきました。

最終的に、松本の引退試合が決定します。

引退試合と本当のプロレス

ダンプ松本の引退試合当日、松本は竹刀を持って入場。ライバルであるクラッシュ・ギャルズとの対戦が始まりますが、試合は反則の連続で無効試合となりました。血だらけの飛鳥がマイクを握り、松本に問いかけます。

「おい松本! お前が最後にやりたかったことは、これかよ!」

その言葉に、松本もマイクを手に取り、「本当のプロレスを見せてやる!」と叫びました。そして千種に向かって「うちらにしかできないプロレスをやろう」と訴えます。

真のプロレスへ

松本と千種はタッグを組み、相手は大森と飛鳥。全員が同期の仲間であり、レフェリーを務めたのは本庄。会社の介入を排除した試合は、観客の大歓声の中、正攻法で行われました。これこそが、彼女たちが目指していた「真のプロレス」でした。

結び

これは、松本香が「ダンプ松本」として最強のヒールとなり、最後にプロレスの本質を見つけるまでの物語。彼女たちの戦いは、プロレス界だけでなく、世間にも大きな影響を与えたのです。

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