こんにちは、今回は、Ankerから発売されたSoundcore Liberty 4 Proについて、日常生活での使用体験をもとに徹底的にレビューします。価格は19,990円(税込)。「高性能なイヤホンを求めているけど、予算は2万円まで」という方に向けて、様々な場面での使用感、良い点、改善点を詳しくお伝えしていきます。
1. 製品概要とスペック
まずは、Liberty 4 Proの主要スペックを確認しましょう。
- 価格:19,990円(税込)
- Bluetooth:バージョン5.3
- コーデック:SBC、AAC、LDAC対応
- ドライバー:A.C.A.A 4.0(10.5mm低音域用 + 4.6mm中高音域用)
- ノイズキャンセリング:ウルトラノイズキャンセリング 3.5
- 防水性能:IP55
- バッテリー持続時間:最大7.5時間(ANC ON時)、ケース込みで最大30時間
- 急速充電:約5分の充電で最大4時間再生
- 重量:本体片耳5.5g、ケース込み62g
2. 外観とデザイン:洗練された見た目と実用性のバランス
Liberty 4 Proは、全体的に洗練されたデザインが特徴です。カラーバリエーションは4色(ミッドナイトブラック、パールホワイト、スカイブルー、ディープグリーン)あり、私が選んだスカイブルーは落ち着いた色合いで上品な印象です。
イヤホン本体のサイズは縦23.1mm×横24.8mm×高さ32.0mmと、比較的コンパクト。重量は片耳5.5gと軽量で、長時間の使用でも耳への負担が少ないのが特徴です。
充電ケースは、スライド式の開閉機構を採用しており、片手で簡単に操作できます。サイズは縦88.1mm×横58.5mm×高さ30.0mmで、総重量は62gです。同価格帯の他社製品(例:Sony WF-1000XM4は縦68mm×横35mm×高さ30.9mm、総重量77g)と比べると、若干大きめですが、重量は軽いです。
バッテリー残量はLEDインジケーターで確認でき、詳細な情報はスマートフォンのアプリで確認できます。
実際の使用感:
- 通勤バッグ(A4サイズ)には余裕で入りますが、小さめのハンドバッグだと他の荷物と一緒に入れるのがやや窮屈に感じることも。
- ポケットに入れる場合、ジーンズの後ろポケットなら問題なく入りますが、前ポケットだときつい感じがします。
- スライド式の開閉は、手袋をしていても操作しやすく、冬場に重宝します。
3. 音質:高音質だが、好みが分かれる可能性も
Liberty 4 Proの音質は、全体的に非常に良好です。デュアルドライバー構成(10.5mm低音域用 + 4.6mm中高音域用)により、幅広い周波数帯域をカバーしています。
低音・中音・高音の特徴
- 低音:豊かで力強い低音が特徴です。EDMやヒップホップなどの音楽ジャンルで、ベースの響きがしっかりと体感できます。例えば、Daft Punkの「Get Lucky」を聴くと、ベースラインの躍動感が素晴らしく表現されています。
- 中音:ボーカルの表現力が高く、歌詞の細かいニュアンスまで聞き取りやすいです。Adeleの「Someone Like You」では、彼女の感情のこもった歌声が鮮明に伝わってきます。
- 高音:前モデルと比べて、刺々しさが軽減されています。長時間聴いても疲れにくくなりました。
音楽ジャンル別の印象
- J-POP/ロック:非常に相性が良いです。例えば、米津玄師の「Lemon」を聴くと、今まで気づかなかった楽器の音までしっかり聞こえて感動しました。
- クラシック:オーケストラの繊細な音のバランスを楽しむには、少し物足りない面があるかもしれません。ベートーベンの交響曲第5番を聴いた時、低音が強調されすぎている印象を受けました。
- ジャズ:ピアノやサックスの音色が自然に再現され、ライブ感を感じられます。Miles Davisの「So What」を聴くと、楽器の空間的な配置まで想像できるほどです。
HearID機能による音質カスタマイズ
アプリの「HearID」機能は、個人の聴覚特性に合わせて音質をカスタマイズできる優れた機能です。使用方法は以下の通りです:
- アプリを開き、「HearID」を選択
- 画面の指示に従って、聴力テストを実施(約2分程度)
- テスト結果に基づいて、自動で最適な音質設定を作成
この機能を使用することで、高音域がより自然になり、全体的な音のバランスが改善されました。特に、クラシック音楽を聴く際に効果を感じました。
ただし、この設定には5〜10分程度の時間がかかるので、音質にこだわりのない方には少し面倒に感じるかもしれません。
4. ノイズキャンセリング:日常生活で十分な性能
Liberty 4 Proは「ウルトラノイズキャンセリング 3.5」を搭載しています。日常生活で遭遇する多くのノイズを効果的に軽減してくれます。
場面別の効果
- 通勤電車内:非常に効果的です。平日の混雑した電車内でも、周囲の話し声や電車の走行音がかなり軽減されます。例えば、朝の山手線(東京)で使用した際、周囲の騒音が約70%軽減されたように感じました。
- オフィス環境:キーボードのタイピング音や同僚の話し声などが軽減され、集中して作業できます。オープンオフィスでも、静かな個室で仕事をしているような感覚が得られます。
- カフェでの作業:カフェのBGMや他の客の会話なども、かなりの程度カットされます。ただし、エスプレッソマシンの音など、突発的な大きな音は完全には消せません。
- 屋外での使用:風切り音には若干弱い印象です。公園でのんびり音楽を聴く程度なら問題ありませんが、ジョギング中などは風切音が気になることがあります。
注意点
外を歩く時や、自転車に乗る時などは、安全のためにノイズキャンセリング機能をオフにするか、外音取り込みモードを使用することをおすすめします。車の接近音などが聞こえづらくなるため、事故の危険性があります。
他社製品との比較
同価格帯の他社製品(例:Sony WF-1000XM4)と比較すると、低音域のノイズ除去能力はほぼ同等ですが、中高音域ではやや劣る印象です。ただし、日常的な使用では十分な性能を発揮しており、価格を考慮すれば非常に優秀と言えるでしょう。
5. 装着感と遮音性:長時間使用でも快適
Liberty 4 Proの装着感は非常に良好です。耳に優しくフィットし、長時間使用しても痛みを感じません。例えば、8時間のデスクワーク中ずっと装着していても、耳への負担はほとんどありませんでした。
イヤーチップの選択
付属のイヤーチップは4サイズ(XS、S、M、L)あります。適切なサイズを選ぶことで、遮音性と装着安定性が大幅に向上します。サイズ選びのコツは、耳を軽く引っ張りながら挿入し、少し回転させてフィットさせることです。
装着安定性
日常生活では問題なく安定して装着できます。ただし、激しい運動時には注意が必要です。例えば、階段を駆け上がった時に片方が落ちそうになったことがあります。ジョギングやワークアウトには、専用のスポーツイヤホンの方が適しているかもしれません。
遮音性
パッシブな遮音性も優れています。ノイズキャンセリング機能をオフにしても、外部の音がかなり遮断されます。これは、電池を節約したい時や、周囲の音も少し聞こえていたい時に便利です。
防水性能
IP55の防水防塵性能を備えています。これは、汗や小雨程度なら問題なく使用できるレベルです。軽い雨の中を傘をさして歩いている時も安心して使えました。ただし、水中での使用や直接水をかけるのは避けるべきです。
6. 操作性:慣れれば便利、初心者には少し複雑かも
Liberty 4 Proは、感圧センサーとスワイプ操作を組み合わせた操作方式を採用しています。これにより、誤操作が少なく、確実な操作が可能です。
基本的な操作方法
- 1回押し:再生/一時停止
- 2回押し:曲送り(右)/曲戻し(左)
- 3回押し:カスタマイズ可能(デフォルトでは音声アシスタント起動)
- 長押し:ノイズキャンセリングモード切替
- スワイプ:音量調整(上げる/下げる)
操作の利点
- 感圧センサーにより、雨の日や手袋をしていても確実に操作できます。
- スワイプ操作で音量調整ができるのは非常に便利です。例えば、電車内で突然アナウンスが入った時も、素早く音量を下げることができます。
- カスタマイズ可能な操作があるため、自分の使い方に合わせて設定できます。
操作の課題点
- 最初は操作方法を覚えるのに少し時間がかかります。特に、「2回押し」と「3回押し」の違いを意識するのが難しく、曲を送るつもりが音声アシスタントが起動してしまったりしました。
- 操作方法を簡単に確認できる機能がないので、忘れた時に戸惑うことがあります。
カスタマイズ機能
アプリを使用することで、各操作の機能をカスタマイズできます。例えば、3回押しの操作を音声アシスタントの起動から、イコライザーの切り替えに変更するなどが可能です。これにより、自分の使用パターンに最適化できるのが大きな利点です。
7. バッテリー性能:日常使用には十分な持続時間
Liberty 4 Proのバッテリー持続時間は、イヤホン単体で最大7.5時間、充電ケース込みで最大30時間です。実際の使用でも、これらの数値にかなり近い結果が得られました。
典型的な平日の使用パターン(朝の通勤2時間、仕事中4時間、帰宅後2時間)で、2日間充電なしで使用できました。
急速充電機能も優れており、わずか5分の充電で約4時間の使用が可能です。また、Qi規格のワイヤレス充電にも対応しているので、寝る前にワイヤレス充電パッドに置いておくだけで、朝には満充電になっています。
8. 音声品質:通話にも十分な性能
Liberty 4 Proは6つのマイクとAIノイズリダクション技術を搭載しており、通話品質は予想以上に良好です。
マイク性能
相手の声がクリアに聞こえるだけでなく、こちらの声も相手にはっきりと伝わります。オンライン会議で使用した際、参加者から「声がはっきり聞こえる」とコメントをもらいました。
ノイズキャンセリング効果(通話時)
周囲の騒音を効果的に除去し、クリアな音声を相手に伝えることができます。実際に使用してみると、以下のような場面で効果を発揮しました:
- カフェでの通話:周囲の会話やBGMがほとんど相手に聞こえませんでした。
- 屋外での通話:風の音が大幅に軽減され、快適に通話できました。
- 自宅での通話:洗濯機の音が相手にほとんど聞こえていないようでした。
ただし、非常に騒がしい環境(例:工事現場の近く)では、完全にノイズを除去することは難しく、多少の限界はあります。
音声アシスタント対応
Siri、Google アシスタント、Alexa などの音声アシスタントにも対応しています。イヤホンを装着したまま音声コマンドを使用でき、返答もクリアに聞こえます。例えば、料理中に手が離せない状況でも、音声でタイマーをセットしたり、次の予定を確認したりできて便利です。
9. 追加機能:3Dオーディオとマルチポイント接続
3Dオーディオ
3Dオーディオ機能は、予想以上に効果的で楽しい機能です。4つのモード(音楽、Podcast、映画、ゲーム)があり、コンテンツに応じて最適化されます。
各モードの特徴と使用感:
- 音楽モード:ライブ会場にいるような臨場感があります。Queen の「Bohemian Rhapsody」を聴くと、まるでステージの目の前にいるような没入感がありました。
- 映画モード:映画館にいるような音響効果が楽しめます。アクション映画を観た時、爆発音や銃声の定位が明確になり、より迫力のある視聴体験ができました。
- Podcastモード:ナレーターの声が明瞭になり、長時間のリスニングでも疲れにくくなります。通勤中に聴いていると、周囲の騒音に邪魔されることなく内容に集中できました。
- ゲームモード:ゲーム内の音の方向性が強化されます。FPSゲームをプレイした際、敵の足音の方向が分かりやすくなり、ゲームの没入感が増しました。
ただし、3Dオーディオを常時オンにしているとバッテリーの消費が早くなるので、用途に応じてオン/オフを切り替えるのがおすすめです。
マルチポイント接続
2台のデバイスを同時に接続できるマルチポイント機能は、便利さと課題点が共存しています。
メリット:
- 仕事用と私用のスマートフォンを同時に接続でき、どちらからの着信も逃しません。
- PCで作業しながら音楽を聴いている時に、スマートフォンに電話がかかってきても、シームレスに切り替えて通話できます。
デメリット:
- 2台目のデバイスからの音声が突然割り込んでくることがあります。例えば、PCで動画を見ている最中に、スマートフォンの通知音が鳴ると、動画が一時停止されてしまいます。
- LDACコーデック使用時にはマルチポイント接続が使えません。高音質と利便性のトレードオフが必要です。
個人的には、仕事中はマルチポイント接続を活用し、音楽を集中して聴く時はLDAC接続を使うなど、状況に応じて使い分けています。
10. アプリの機能性:多機能だが、やや複雑
専用アプリ「Soundcore」は機能が豊富で、イヤホンの性能を最大限に引き出すのに役立ちます。
主な機能:
- イコライザー設定(HearID含む)
- ノイズキャンセリング強度調整
- 3Dオーディオ設定
- タッチ操作のカスタマイズ
- ファームウェアアップデート
- イヤホンの紛失防止機能
特筆すべき点:
- HearID機能は非常に優れています。約2分間の聴力テストを行うことで、自分の耳に最適化されたイコライザー設定を作成できます。これにより、より自然で聴きやすい音質を実現できました。
- タッチ操作のカスタマイズ機能も便利です。例えば、音声アシスタントの起動を3回タップに割り当てるなど、自分の使い方に合わせてカスタマイズできます。
課題点:
- 機能が多岐にわたるため、初めは少し操作に戸惑う場合もあります。全ての機能を使いこなすまでに時間がかかるかもしれません。
- 一部の設定項目が分かりにくい場所にあり、直感的に操作できない部分があります。
改善希望点:
- より直感的なユーザーインターフェースの導入
- 初心者向けのチュートリアルモードの追加
- よく使う機能をホーム画面にカスタマイズできる機能
11. 総評:バランスの取れた高コスパイヤホン
Anker Soundcore Liberty 4 Proは、2万円を切る価格ながら、音質、ノイズキャンセリング、操作性、機能性のすべてが高いレベルで揃った、優秀なワイヤレスイヤホンだと感じました。
特に優れている点:
- バランスの取れた音質と豊富な音質調整オプション
- 日常生活で十分に効果的なノイズキャンセリング機能
- 直感的で使いやすい操作性
- 長時間使用可能なバッテリー性能と便利な急速充電
- 3Dオーディオなどの付加価値の高い機能
- 価格に対する高い性能と機能性
改善の余地がある点:
- 充電ケースのサイズがやや大きい
- 風切り音への対策が弱い
- LDACとマルチポイント接続の両立ができない
- アプリの操作性に一部改善の余地がある
このイヤホンは、音楽好きはもちろん、仕事でのオンライン会議や通話、移動中の動画視聴など、幅広い用途で活躍してくれます。日常生活のあらゆる場面で使える万能性が最大の魅力です。
ただし、クラシック音楽のような繊細な音を求める audiophile の方や、完璧なノイズキャンセリングを期待する方には、少し物足りない部分があるかもしれません。その場合は、より高価格帯の製品を検討する必要があるでしょう。
総合的に見て、Liberty 4 Proは多くのユーザーにとって満足度の高い製品だと言えます。特に、コストパフォーマンスを重視しつつ、高い機能性を求める方には最適な選択肢となるでしょう。
新しいワイヤレスイヤホンを探している方、特に2万円以下で高性能な製品を求めている方には、Liberty 4 Proは間違いなく検討に値する選択肢の1つになるでしょう。ぜひ、実際に試聴してみることをおすすめします。それぞれの耳で確かめることで、自分に最適なイヤホンを見つけられるはずです。